【この記事は私が編集している広報誌からの転載です】


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 先日、環境省からレッドリストの改訂が発表されました。レッドリストは、絶滅のおそれのある野生生物の種のリストで、いくつかのカテゴリーにランク分けされています。さて、今回の改訂で特に注目されたのは、朱鷺(トキ)が、「野生絶滅」から「絶滅危惧IA類」にランクが引き下げられたことです。トキは学名をニッポニア・ニッポンといい、日本と大変ゆかりがあります。古くは珍しい鳥ではなかったようですが、どうして絶滅寸前にまでなってしまったのでしょうか。
 狩猟や生息環境の悪化が原因でトキは徐々に数を減らし、1960年代には能登半島と佐渡島のみで見られるようになりました。そして1981年に佐渡島の最後の五羽を捕獲した時点で、野生絶滅(自然の生息地での絶滅)となります。そこから人間によるトキの野生復帰に向けた涙ぐましい取り組みが始まります。日本と中国で飼育されていたトキを貸し借りしながら人工繁殖に取り組みました。日本と中国のトキが同じ種であったのが幸運でした。そして1999年ついに人工繁殖に成功し、これまでに約300羽が放鳥されました。2012年以降は野生での巣立ちも確認されています。これがトキの野生絶滅からの復活の経緯です。
 このニュース、確かに嬉しいことですが、一度野生絶滅した種を復活させるには多大な労力が必要となることを忘れてはいけません。本当は野生絶滅する前に対策しなければいけなかったのです。今絶滅の危機に瀕している種、つまり環境省レッドリストに掲載されている絶滅危惧種の数はなんと3,600種にのぼります。その中にはメダカのような身近な生き物も入っています。私たちにできることは限られていると思いますが、どうして数が減ってしまったのかを調べてみるのもよいかもしれません。

【参考】佐渡トキ保護センターHP、http://tokihogocenter.ec-net.jp/index.html
環境省の報道発表資料、https://www.env.go.jp/press/106383.html
環境省RDB図鑑、https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/zukan