【この記事は私が編集している広報誌からの転載です】

テラ写真

先日、研究所の桜の木に、シジュウカラがやってきました。シジュウカラはスズメと同じくらいの大きさで、お腹にネクタイのように黒い線があるのが特徴です。雄はこの時期、ツーピー、ツツピーとさえずって、プロポーズしています。プロポーズが上手くいくと、今度はヒナが生まれ、親鳥はヒナに餌を与えます。餌には、柔らかくて栄養たっぷりの蛾の幼虫が必要です。幼虫はちょうど葉が芽吹く5月に大発生するので、シジュウカラの子育てもちょうどその頃。参考書によると、1羽のシジュウカラは1年になんと12万匹の幼虫を食べると言われています。すると千羽で1億2,000万匹(これは日本の人口と同じですね)。これだけの幼虫がいないと、シジュウカラなどの野鳥が生きていけないということになります。私たちがあまり好きになれない蛾の幼虫も、野鳥にとっては大切な生きものなのです。逆にシジュウカラがいないとどうなるか想像してみてください。幼虫に葉を食べ尽くされて、桜の木も枯れてしまうでしょう。そうすると、私たちはお花見ができなくなってしまいますね。食べたり食べられたりしながらうまくバランスしているので、桜の木も蛾の幼虫もシジュウカラも生きていけるのです。

ニュースなどで「生物多様性」という言葉を聞きます。これは、単に生きものが沢山いるというだけではありません。沢山の種類の生きものが一緒に暮らしていけるということです。

参考:「はじめまして−身近な野鳥のお話」 随想舎(2008)