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今、「湯川秀樹 詩と科学」STANDARD BOOKS (2017年)を読んでいます。その中に「科学と道徳(1957年)」という章があり、次のような文章がありました。今日が、震災と原発事故から6年目ということもあり、その内容が今にも通じているように感じました。この文章の背景には、湯川秀樹先生が当時、核兵器と戦争の廃絶を訴えられていたことがあります。この時は、まだ日本には原子力発電所はありませんでした。しかし・・

『特に自然科学に関する最も基礎的な研究をする純粋物理学者の間では、社会的責任などということは考えず、ひたすら真理のために真理を探求するのが、最も尊敬すべき態度だと認められてきたのである。実際私自身も原子力の実用性が問題となるまではそれで良いと思っていた。(中略)今や原子物理学者の研究は、間接的であるにしても、一人の医者の診察を受ける患者の数とは比較にならない多数の人々の生命と関係を持ち得ることになったのである。少し大げさにいえば、「人類の存続」とさえ関係を持ち得ることになったのである。科学者が科学者であるために必要な価値判断と、その人が人間らしくあるために必要な価値判断とを、完全には分離できないことが明白になったのである。

 こういうことは、日本の科学者の大多数にとって最早や自明のことであろう。問題は世界中の科学者、特に強大な国々の科学者が、それを自明のことと考え、またそういう考えに立脚して、科学者としてまた人間として行動するかどうかにある。』