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齊藤誠著「震災復興の政治経済学」を読みました。福島の原発事故について、経済学者の立場から詳しい分析をされていると新聞の書評欄で紹介されていたからです。

確かに、事故調の報告書などを子細に読み込んでおられ、その要点を分かりやすく解説しているので、技術者の私にとっても大変参考になる内容でした。また経済学には馴染みがない私ですが、原発事故の経済学的な(4年間にわたる)分析と将来にわたる課題は、腑に落ちるところが随所にありました。

結局、これまでの損害賠償と除染費用、9兆円余りのうち、東電株主が負担するのは14%にすぎなく、国(納税者)が11%、全国の電力利用者が48%を負担することになるようです。また、厳しい想定では、納税者と電力利用者が82%をも負担することになるだろうと指摘しています。さらに、これには廃炉費用が含まれていないので、国民の負担はもっと増えるだろうと。だから、金融機関や投資家などの東電の債権者がもっと負担すべきではないのかと主張されています。確かに、そうだよなと思いました。

どうして東電側の負担が小さくなっているのでしょうか?1961年に制定された「原子力損害の賠償に関する法律」が関係しているそうです。「原子炉の運転等の際、該当原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる」「ただし、その損害が異常に巨大な天変地異又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りではない」の、ただし書きのところが影響していて、建前は東電が損害賠償を負担することにして、実は原子力損害賠償・廃炉等支援機構という仕組みを作って、国が支援しているそうです。東電の超過債務が見えにくくなるように。

他にも興味深いことが多く書かれています。事故が想定外だったかどうかを検証するところも納得させられます。(数字が多くて難しいところもありますが)お勧めしたい本です。