前回、米国の核融合研究の予算が大幅に削減されたことを書きましたが、これだけでは米国の状況を一面的にしか見ていないと指摘を受けそうなので、少し補足します。
 米国において核融合研究を担当しているのはThe Department of Energy (DOE、エネルギー省)です。DOEの2008年度予算決定額が分野別に公開されています。確かに、核融合エネルギー関連予算は前年比-10.2%、高エネルギー物理関連予算は-8.4%と大幅に削減されています。
 一方で、再生可能エネルギー(バイオマス、太陽光、風力、地熱)を含むエネルギー開発予算は、要求通りか、要求以上の予算が配分されています。そして最も目立つのは、原子力発電開発予算が前年比47.4%の増加となっていることです。これらのエネルギー開発予算の増加は、この2年で62%にもなるそうです。これは中東の石油への依存を減らそうとするブッシュ大統領の政策が反映されています。
 核融合エネルギー関連予算の削減は、他のエネルギー開発予算の増加のあおりを食ったものと思われます。地球温暖化対策に力を入れていると見れば、納得できないこともありません。
 ところが、DOEは核兵器の開発も担当しています。その予算は約38億ドル(4000億円)にもなります。ちなみに国際熱核融合実験炉(ITER、イーター)建設のために要求した予算は、1.6億ドル(170億円)です。核兵器開発予算の4%にすぎません。
 どうして核兵器開発予算を少しでも減らして、核融合エネルギー開発に貢献しようとしないのでしょうか。やはり納得がいきません。