中越沖地震で被害を受けられた方に心よりお見舞い申し上げます。それにしても柏崎刈羽原子力発電所からの放射能漏れによる風評被害は大変なようですね。新聞に「環境に影響はないという」とちゃんと書かれてあっても、見出しが「大気にも放射性物質」と大きく書いてあれば、そちらが頭に残ってしまうのでしょう。発電所のプレスリリースを読みましたが、環境への影響はないと思います。
 核融合発電所が将来稼働して、今回のように大きな地震に遭遇したら、もしかして一部の放射性物質が大気に放出される可能性があります。そのときに放出されるのは放射性水素(つまりトリチウム)です。一方、原子力発電所から放出される代表的なものは、放射性ヨウ素です。ここで知っていただきたいのが、同じ放射能を持つトリチウムと放射性ヨウ素を、口や鼻から摂取したときの人体への影響は、トリチウムの方が1000分の1と小さいことです。さらに炉の中にあるトリチウムと放射性ヨウ素の総量を考えても、原子力発電所に比べて、核融合発電所の放射線に関するリスクは約1000分の1になります。核融合発電所の安全性が高い理由はこのようなところにもあります。
(参考:日本原子力学会誌 47巻(2005年)53ページ、「トコトンやさしい核融合エネルギーの本」日刊工業新聞社)
【厳密な補足】
 法令に記載されている「吸入摂取した場合の実効線量係数(mSv/Bq)」がトリチウム(水状)に比べて放射性ヨウ素の方が1000倍大きいです。この係数は人体への影響の大きさに関係します。
 炉内の放射性物質の量を法令に記載されている空気中許容濃度限界で割った数値を「潜在的放射線リスク指数」と言います。同じ規模の原子力発電所で扱う放射性ヨウ素と核融合発電所で扱うトリチウムのリスク指数を比べると、原子力発電所の方が1000倍大きいです。