人間の誤操作や不正によって原子力発電の安全性が懸念されていますが、「受動的安全」を備えた次世代原子炉が設計されているので紹介したいと思います。設計したのは米ウェスティングハウス社で、AP1000という名前の100万キロワットの原子炉です。そして先日、中国はこの原子炉4基を建設することを決めました。
 さてこの原子炉が持つ「受動的安全システム」は大変興味深いものです。従来の安全システムでは、事故が発生すると警報が鳴り、人間が状態を判断し、安全機器を操作していました。しかし人間が誤操作したり、機器が誤動作する可能性があります。受動的安全システムでは、重力、自然循環、圧縮ガスといった自然の力しか使いません。ポンプ、ファン、ジーゼル発電機といった電気を必要とする機器も使いません。人間の操作も必要ありません。例えば、冷却水喪失という事故が起こると、原子炉の上にある大きなプールの水を自動で(重力で)落とすという仕組みを持っています。安全を確保するためには、人間も複雑な技術も信用できないという発想のもとで設計されています。
 核融合発電と原子力発電は本質的に異なるものですが、「受動的安全」という考えは共通するものです。やっぱり絶対に信用できるのは自然の力だけかもしれません。